空き缶
羽根

幼い頃
家の前の道は狭い土の道だった

空き缶は蹴られ飛ばされ
そこには何人かの子供が
走り回っていた

いつの間にか土の道は
アスファルトに替わり
近所の家が新しくなるにつれ
家と家の隙間が小さくなり
空き缶は軒下に
置かれるようになった

私の家が立て替えが決まったとき
軒下から空き缶が
ころころと出て来た

色々なところがへこみ
赤茶に染まった空き缶を見つめ
私は家が壊される前に
保存箱にそっと入れた


自由詩 空き缶 Copyright 羽根 2018-12-29 20:36:45
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