真夜中の微笑み(クリスマス詩)
秋葉竹




街は彩られた光の速さで進みます

だれとも約束なくひとり

吹かれる風も音を立てて

顔や首筋に噛みつきにきます



心にある

瓶の蓋を閉じてみます

迷いや寂しさはすぐに

心のなかで黒々と毒となり

静かに

あたたかいやさしさは

死んでいきます


何があるというのでしょう

朝 あたたかい 新しい 朝日の あたる 心

苦しみや悲しみをときほぐしてくれる

お日さまの光をみとめることが

たいせつなおこないのように思います



だからなにもいらない心を

じぶんのなかで

もういちど認識して

一歩も動けずに

とほうにくれています



なにもほしくなくなります

だからみんなは驚いて

たまたま会ったぼくを

みえないものをみる目で見ています



この街の音を集約して

一曲の歌が流れ出すのは

沈められて 死んでしまった

固く締められた瓶の中ではないのです



そして夜空に浮かぶトナカイやソリの

いずこより

彼方より

やって来る世界が広がるクリスマスイブ

だれからも求められないからひとりで

夜空を見上げ寂しくないと言い訳をします

なにも考えられない空虚な時を過ごします

共に信頼を 手放した

愛の秘密を 伝えられない

クリスマスと呼ばれる夜にはならないで

ください

その声を

真剣に聴いているのは哀しげなサンタクロース

深く傷つくまえに

お願いをきいてほしいといっています



街は彩られた光の速さで進みます

だれとも約束なくひとり

吹かれる風も音を立てて

顔や首筋に噛みつきにきます



そんななか彼だけが

現れるべきところに現れると

小さな微笑み浮かべ

その白く長いヒゲをそっと撫でながら

星空に祈ります


より良い世界が、おとずれますように








自由詩 真夜中の微笑み(クリスマス詩) Copyright 秋葉竹 2018-12-22 05:21:50
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