笑って。《改》
秋葉竹

それを好き好んで
夕刻うつろうものを
真っ直ぐな目で
追おうというのに

いまからでも手に入る
黄金の果実を
手に入れないし
探さないし
その存在さえ
感じないというのに

出会いのチャンスなんて
たかがそんなものなんだ


なにも
しない


すでに世界の果てまで
すべては明るく輝いて
より多くの幸せを誇る
翼持つ天使たちが近くに来て
さまざまな鮮烈な悲しみを
自由に搔き消してくれるなら

それなら
こんなもの要らないから
こらえられなかった
罪びとのかじる果実を
泣きながら
踏みにじるだけ

そんな時代の
遊びのような心の染みを

みとめるというなら

望まれず
生きる


あふれ、こぼれた、ものでいいから
あなたのバーチャルな愛をちょうだい
そんなこんなな吊り橋効果の
その場ごまかしのやつでもいい

私は忘れないけど
なにも感じないけど
嘘も足りないとは言わない

それ以外なにも望まないけど
熱望するから手に入らないものが
世界にはニコニコしながら
忘れないでと手招きしているから

私は忘れない

世界の真ん中に
真実の心は持って入らなかった

こんな時代には
流れをさえぎる愛なんてどこにもなく
感じない果実の香りと味とが
私をスキだらけにしてくれている

涙が出てもいいはずだわ

このあと少しでも早く楽になるためには
だから笑いは世界を変えるって
ささやかだけど愛おしい夢でもみて
馬鹿、馬鹿ッ、って胸にすがりついて
馬鹿馬鹿しい眠りを眠っていれば
いいんだ

やっぱり、涙が出てもいいはずだわ

じゃないのなら、

笑ってくれないの?






自由詩 笑って。《改》 Copyright 秋葉竹 2018-12-09 19:27:11
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