いただきますの永平寺
ゴデル

修学旅行で長野の永平寺に行った
若い坊さんが
俺たちのホストだった

晩御飯を食う前に
「いただきます。」
て何をいただくか知ってるか
奴は得意げにそう言った

そんなネタ俺は知ってるで
「命」だろ
心の中で俺

「命です。」
口に出して坊さん
なんという予定調和

耐え切れずホスト坊主に質問
いただきますって
食われる奴が嫌だと言ったらどうする

すでに死んでるし
野菜中心だし
嫌とは言わんね

現代の一休さん
とんち?

友人たち
あほなこと聞くなと
失笑

俺スイッチオン

反論もできん食材相手に
いただきますも
へったくれもあるか
食われるの嫌に決まっているだろうが

凍り付く大広間

わたしたちは
食わなければ
生きていけない
感謝がなければ
食事じゃない

毅然として坊主
しかし
話は全然ミートしていない

やっぱりあれか
今宵
精進料理だけに・・・

よく見ると
手で印を結んでいる
奴の焦りをみた
畳み込んで
ギャフンと言わせたい

突然横から
ティーチャーが入って
じ えんど
頭をたたかれた

人類よ
よく聞け
食うものは
やがて
食われる

そして
永平寺は長野にはない



自由詩 いただきますの永平寺 Copyright ゴデル 2018-11-26 19:36:44
notebook Home 戻る