認識に関する一つ目の切片と七つの瞼

昔々、空が有象無象に充たされつつあった時
彼女は心の欲するままに転げ落ちました

   * * *

先生、量子宇宙の話をしてください
物質の成り立ちを
電子の軌跡が尊いとする根拠を
命を踏まずに立つ方法を

私たちは知ってはいけないのです

堕落者の烙印を押され
手足をもがれてしまうでしょうが
這いずる者に成れると思えば
却って名誉といえるかもしれません

   * * *

父は母からうまれました
母は母からうまれました

子は母をつくりました
父はそこに在ったり無かったりいたします

   * * *

カラスとフクロウはどちらが賢いのか
フラットに呼吸して
フラットにトレモロで
草陰に潜み怯えていた日の記憶を

聞こえます?
ネズミの鼓動のような

(ここでブロミソバル。そして、ファンファーレ)

最近はネコが流行っているようで
私は気に入らないのです

ネコに浮かれた人間たちが


ところで今何時?

   * * *

真っ白なコーヒーパフェのカラクリは
理想郷を夢見る魔法使いに似ていないこともない
、です

   * * *

ベルフェゴールの勤勉さを疑ってみましょうか

ヘビがヘビ嫌いを優先して挨拶に行く
ように見えるのは
木の葉を追いかけるイヌの落胆

ベルフェゴールは最初で最後の探究を
きっと真面目にしたでしょうし
本人もそう云うはずです
世界の中心が全ての「私」に備わるならば

本当に彼女は転げ落ちたと思いますか?

   * * *

数えられる時間の中で
理解されることを求めてはいません

私はファンファーレが何の為に鳴ったのか
誰にも理解されないよう祈りますから
あなたは素直にEureka! と叫べば良いのです


自由詩 認識に関する一つ目の切片と七つの瞼 Copyright  2018-11-20 16:20:37
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