トースト
湾鶴

ときおり うなずいて 
はにかむ頬に マァーマレードジャム

トーストのオコゲを
スプーンで 懸命に削いで

遅刻してもいいから
縞模様の食パンをもう少し

ネクタイの粉を叩くより
焼けた小麦の匂い ふりまいて

歯磨きするより
ジャムの余韻を 鼻腔において

靴底に一枚
ポケットに二枚 内ポケットに一枚
頭と耳と顔に合わせて 五枚
おお、カバンにありったけ

パンのみに生きる 丙の朝


自由詩 トースト Copyright 湾鶴 2003-11-18 23:48:25
notebook Home 戻る  過去 未来