もしも悲しみが猫だったら
福ちゃん
もしも悲しみが猫だったら
きっと僕は今より強くいられる
気まぐれに悲しみがやってきても
優しくその子を
抱きしめられるだろう
いつか気まぐれに
去ってしまうと知っているから
もしも悲しみが猫だったら
あなたのその悩みは
極上のかつお節なのだ
わざわざ律儀に
裏庭に置く必要なんてないのだから
湯豆腐に乗っけて美味しく食べてしまえばいい
あなたの内の一匹だけを
そっと撫でてあげればいい
もしも悲しみが猫だったら
僕は招き猫を信じてみよう
本当の悲しみならば
本当の幸せを見つけられると思うから
悲しみを分かち合うために
人は寄り添うのだと思うから
もしも悲しみが猫だったら
眠れない夜
そんなことを考えていた