針女
春日線香

針女について語らなければならないだろうか。そんなことができるわけがない。私が言えるのは彼女の舌、真っ青なその上に無数の針が針山のように刺さっていることだけであって、他の何一つも許されてはいない。自分ではもう喋ることのできない彼女の腐り落ちた横顔を、風の中から拾い上げるだけ。ただそれだけの暗夜の鏡。濁った忘れ沼の星明り。


自由詩 針女 Copyright 春日線香 2018-10-04 00:50:40
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