学校の怪談
春日線香
校庭のどこかに棺が埋めてあるという。まん丸な桃を齧りながら校長が教えてくれたが、僕たちは知っている。棺の中には誰も入っていないのだと。海にさらわれて上がってこない校長を偲んで、教師連が生徒に秘密で棺を埋めたのだと。まだ四十九日も済んでない校長が嬉しそうにかぶりつく桃の汁がたらたらと教室の床に滴って、甘い香りが辺り一面に漂った。
自由詩
学校の怪談
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春日線香
2018-10-02 03:49:07
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