恋愛至上主義
立見春香



恋が浮かんでいるのを
あたしはジ~ッと
睨みつけていた

恋が、ふわわわ、と
ほんとうの意味なんて知らないけど
モノマネをして
ふわわわ、と微笑んでいるのを
あたしは
あたしのいちばんやわらかい
無垢無垢なこころを隠し込んで
両手を背中のほうで組んで
(手も出せない、の寓意かな?)
(こころのなかで)
指を咥えて、
涙目になりながら、
ただ、欲しいよぉ、欲しいよぉ、って
つばを垂らしてるんだ
(だから、こころのなかでだよ?)
《こころのなかなら、いいのかよ?》

恋が、ふわわわ、と、ふわわわ、と、
なんの悲しみもない世界を
偽装してただよっているのを
ほんとうにみることさえできたなら

あたしは、
自由にどこだって飛べると思うんだ
あたしって、恋愛至上主義者だしね?

なぜ、って?

だって、
この、あたしの
その、いちばんの無垢無垢なこころを
こんどこそ
その人に
差し上げるどんな
汚れ果てる悲しみがそのさきに
待っているのだとしたって、
あたしだって、夢だってみるさ。

あたしだって、飛びたいって思うんだ
飛びたいって、思ったって、いいのさ、きっと。
なぜって?
あたし、だって。
あたし、だって。
おんなですもの、ね~?



自由詩 恋愛至上主義 Copyright 立見春香 2018-09-24 02:24:48
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