後悔

銀色のトレー、に
ぞんざいに転がされた
私、
だった、血みどろ。の、純潔。
の、フォルム。の、愛らしさ、

(親不知をください
 私の右上の歯肉に埋まっていた
 ワタシをください)

三度刺された上顎を言い訳にフツウぶって
従順に、そーっとぬるま湯を吐き出したのは、
人間が恐ろしかったから。
たったそれだけ
それだけ
に、
もしもの
それ貰ってもいいですか?

こだまする額の内側
くわゎ……ぁん、と
少し伸びた爪でなぞるように渦巻く
シナプスのイタズラ書き、
の、私と私と私と私と私と私と私と……
あーあー、群れた私

ワタシ
が、
塗り潰されて、ゆく、
から左上の親不知を抜きたい。
けれどきっとまた医療ゴミを一つ増やすだけだろうから
私に気付かれぬよう眠りたまえよ。
私達、
とこしえに、
痺れが442ヘルツに収束しながら減衰するように、
血餅に、渦を、


自由詩 後悔 Copyright  2018-09-13 19:51:26
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