おんなの体と心の一部始終
こたきひろし

この体の表面
内部を包む皮膚には、呼吸をするために必要不可欠
微細な穴
他にも穴、穴、穴

匂いを嗅ぐ鼻
音を捉える耳
飲食の為に用意された口には
人間の意思や感情を外部に伝達するための極めて重要
な役目も与えられていた

ねぇ
女が言った
甘える声で「あたしの事愛してる?」
男は聞こえたが直ぐには返事しない
ねぇ、ねえってば
女が答えを迫る

内心はしらけて面倒臭かったが男は声にした
勿論愛してるよ
その返事に女は
本当ね、と聞き返した
本当に決まってるさと男が言った
それで君はどうなんだい?
男は聞き返した
あたしだって愛してるよ

それを聞いて、男は女の口を欲望の口で塞いだ
言葉なんて邪魔だというように

男の心の一部始終
女の心の一部始終
が噛み合わなくでも
男の体の一部始終
女の体の一部始終
が絡み合えば
そして
男が女の穴を塞いでしまえば

そこから吐き出されるのが
雄と雌の
生臭い愛だって
気づいていながらも

確かめられずにいられない
女の心と体の一部始終とは
いったい何だろう





自由詩 おんなの体と心の一部始終 Copyright こたきひろし 2018-08-27 05:32:32
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