ホカチャン

僕たちにとって車は
夢のまた夢のような憧れだった
子どもの頃小学校の行き帰りにバスが通ると
バスの運転手さんに盛んに手を振って
あとの排気ガスを吸うのが楽しみだった
何か文明の匂いというか夢見る都会の匂いというか
そんなものを吸いながら感じたのを
今でも覚えている
親父がかつて
俺たちがまさか自分の車に乗れるとは
思わなかったとしみじみいったことがあった
その頃地域で車に乗っているのは
医者ぐらいだった
僕たちは大人になったら
いつか車を買って
彼女をみつけてドライブに誘うということが
最高の願望だった
そしてあわよくばカーセックスというものも
期待した
でも、今の若者は
車にほとんど関心がないようだ
車よりも自転車がいいという若者さえいる
もちろんカーセックスなど考えつきもしないだろう



自由詩Copyright ホカチャン 2018-08-20 20:24:15
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