言葉の船 ―横浜詩人会六十周年に寄せて―
服部 剛
――誰もが探しているものは何?
ふり返ればずいぶん
流離
(
さすら
)
ってきたけれど
――わたしが探しているものは何?
青い光
ヨコハマの
青い光
それは観覧車に弾ける、一瞬の虹
それはひりひりとした郷愁の夜景
過ぎ去った懐かしい
女
(
ひと
)
よ
二度と無い今日の風景よ
――わたし達が探すもの
一枚の葉脈を流れるいのち
体内を巡り、血の通う言葉
万華鏡の日々の場面を越えて
川の流れる夜の向こう側に
肩を並べて立っているのは
嘗
(
かつ
)
て地上で
脈を打ち…息を吸っては、そっと吐き
生涯に幾度かの涙を一篇の詩に託した
あの日の詩人達
今宵
一人ひとりの顔が浮かぶだろうか
一人ひとりのまなざしは黙して語るか
わたし達はこれからも言葉を紡ぐ
日々の余白に吹く風を
探すように
そうして夢に見るだろう
遠い水平線を昇り
この世界を照らし出す
曙を目指して
明日の海へ出航する
一艘の舟を
自由詩
言葉の船 ―横浜詩人会六十周年に寄せて―
Copyright
服部 剛
2018-08-08 23:55:44
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