The Song of Hiawatha
もとこ

お薬を飲んでいる時と
お薬を飲んでいない時
どちらが本当のアタシで
どちらが本当の世界なのかな
そう思うたびにアタシは悲しくなって
紅のラインを手首に引いてみるんだ(何本も)
いつか再び
この夢から覚めるために

アナタはお父さんと同じにほひがする
あるいは子どもだったアタシで
人形遊びをした見知らぬ男と
アハハ、その事実だけで
世界は一万回滅びても良いと思うよ!

人は
人生は
そして世界は
何一つ平等じゃない
だから熱が移動して
すべては動き続ける
なるほど理屈は分かった
だけどやっぱり世界死ね!!

いつかアタシが
すべてを肯定する日が来ても
すぐに別のアタシが
カビ臭い闇の中から生えてくる
ハァ……それもまた
歯車の一つにすぎないのかな
だって無防備なアタシは
サイコロの目が悪ければ
産まれた瞬間に殺されるもの

そんな風に
否定され
踏みにじられ
シカトされてきた
無数のアタシたちが
夕暮れ時を待ちかねて
世界に火をつけて回る頃
死ぬことによって優しさを得た
光る眼をした子どもたちが
次の夜明けを準備するために
心から優しいアナタへと
一斉に群がって貪り食い尽くす

(暗転)

やがて涼しい風が吹いて
乾いた鈴の音が世界に満ちる
アタシは血溜まりの中で蹲り
来たるべき新しい朝のために
微笑みながらアナタを受胎する
一眠りして清々しく目が覚めたら
アナタに新しい名前をつけてあげるね


自由詩 The Song of Hiawatha Copyright もとこ 2018-06-19 14:04:12
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