人間誰しも
こたきひろし

思えば人はこの上なく恵まれている
余程の運をなくさない限り他の動物の食材にはならないのだ

なのにいつから
どうして人間は必要以上に食べはじめてしまったのだろう
その旺盛な食欲は繁殖力に繋がって、一年を通しての生殖を産んだに違いない
遂にはこの地球を占領してしまったのだろう

人間の為に生命の存続を絶たれた生き物たち
人間の手にいれた武器の前に命を奪われた生き物たち

人間はその犯す大罪を後悔しない
なぜなら何も気づかないから
気づいたとしても都合よく正当化してきたから

しかし心ある人間の一部は罪の意識が芽生え
その思いに苛まれていつしか神の存在を想像し創造した
それは人間が赦しを乞うために描いた幻の絵に過ぎないから
何処にも存在しないのは道理だ

なのにどうして
私は一時期信仰に傾いてしまったのだろう
迷える子羊になって
ではなく
この上なく恵まれていない私を自覚したからだ
でもそれはあくまで同じ人間同士の比較
我が儘な解釈と錯覚に過ぎなかった

言わば寂しさからの逃避行
逃れられきれない孤独からの離脱

でもね
宗教も哲学や倫理を追究したからと言って
暴力も殺人も、略奪だって虐殺だって
この世界からなくならないよ

その事に心底気づいたから
私は食べる事に専念するようになった
笑う事にそして泣くことにも

人間誰しも
飢えて死んでしまいたくないから
肉や魚の死肉、地上の野菜や果物をむしり取って遠慮なく食べるよ

そんなかんなで
いづれ死神がやって来て連れていかれるに決まっていても
死を怖がって神や仏に土下座なんて
してやるもんか





自由詩 人間誰しも Copyright こたきひろし 2018-06-13 08:37:18
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