雪落ちの日
霜天

曲がれそうで曲がれるカーブは
いつかどこかで落ちていくもので
今日
と言っても嘘はどこにも転がっていない
今も削られるままの
海沿いのあの煙突のようなこと
僕らも、ひょいと飛び出して
落ちていくものなんだろう


手触りが冷たい
のは
進めそうで進めない信号機の色と心音の
間で、ふれあっているから



雪、落ちる日
重たげな音がして
春のようで
ひょい、と
飛び出した人たちが
笑い顔で
冷たいねと泣いているようで

またどこかで
遠い音がして
冬が落ちる音で
誰かが泣き笑いで



春になれば、また
あのお気に入りの空色のシャツを着る
緩やかなカーブへとアクセルを踏み込んで
今日もまだ、落ちないでいる

雪落ちの日
降り落ちるのは風のようで
僕らは背中から
ページを捲られているようで


自由詩 雪落ちの日 Copyright 霜天 2005-03-22 01:00:34
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