かんじる?  
るるりら

【なにもかんじない】

まるで レストランのパラソルが風であおられたみたいに
ツツジの花びらが一斉に 空に浮かび上がると
のこされたのは雌蕊です  少女のままのこころです
はなびらを失った代わりに 天女の羽衣を纏う日を
夢見ているのですから 少女でありましょう

あまあと が します
フックのような おとめこごろ
あめで ぬれているのか
なみだ で ぬれているのか

雨の中の つつじの花芯は
寂しく尖り せいいっぱいに 上をみあげています
青年が あまおとのむこうから歩いてくるのを みつめていますが
てのひらに光る時計ばかり気にしている青年なのです

はなびらのない花には
目もくれず
意味ありげに創作された初々しい言葉に
青年の心の臓の拍動は高まるばかりです

つつじの花芯が 揺れています
幽霊の塔のように こころを寂しく尖らせています
花にまさる花が てのひらの機械の中になんて
あるはずないじぁないですかと言わんばかりに
揺れています 
 
 あまおとの中 

うつむいてスマホを見ている青年のうしろで
つつじの精は フックのような横顔で
ついには 人の姿に変化して佇んでいますが
青年は すこしも気が付かないので ありました



               【ちょっと かんじた】

             鋼鉄に成ろうとしている胎児が
             自らの形が さだまらぬままに
             ときに人魚のように なまめかしくも
             なめらかに溶けつつ 真っ赤に燃えているが
             ガス抜きを知らない

             マグマだったら いつだって君みたいに怒りに燃えているさ
             活火山がある村の川に
             炭酸水が湧いていて
             笑える
             空できいていると
             焼けつく鉄の上に うちつける雨音のようだ
             光が水の中で泡となるのが垣間見れて


               ちょっと いいたくなる
               あいしてるよ




【とてもよく聴こえる】


かたつむりは三年ほど眠り続けることができるそうな

石の上に座る人として三年のはてに 半ば目覚めて 
かたほうは まだ目を閉じている 
かたつむりの瞼が すこし開いた視界では  
すべての自然物がもつ曲線のために
苔が雫を宿して かすかに震え
おごそかに謡っている
 
なにげなく碧き苔として謡う花々の
ひっそりと したたる わずかな
     命
水が集まり滝音になるかのように 多くの命の声
歓喜の轟音が 全身を巡る

坂本乙女のような みまもりの役を 果たしてくれた誰かの隣で
たったいま 
竜馬のように たちあがれ
 




書き換え連詩スレッド参加作品です。
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自由詩 かんじる?   Copyright るるりら 2018-06-05 11:47:48
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