秘密
ヤスヒロ ハル

ラテン語を囁く
髪の長い少女は
金色の瞳を
いつも濡らしている

彼女の鎖骨には
ジュブナイルが埋まっていて
大人になるには
あと少しかかりそうだ

少女は恋をしていた
アスペンの木の大きな幹に。
樹皮の匂いを嗅ぐと落ち着くから
それは内緒のこと

少女は知らない

アスペンもまた
誰にも言えず
少女の金の瞳に
お伽噺に
彼女にしか発音できない言葉に
恋をしていることを

少女は今日も額を幹に寄せ
愛の言葉を唱える

安心が小さな胸に押し寄せ

秘密を囁くように
葉が風に揺れた


自由詩 秘密 Copyright ヤスヒロ ハル 2018-04-13 06:37:11
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