うすぼけた休日
番田
sと会い
僕は彼と話していた 六本木は
肌寒かった 今日も カフェのテラス席で
あまり面白くもないことを
風は真冬のような冷たさで
僕らはヒルズの中で行き場を失い
やはり ベンチに腰掛けていた そして
そこで買えるものについてを考えていた
ここに来た意味を僕らは探してはいなかった
コーヒー一杯ではたどりつけない
確かな 手応えのような 実感
目を凝らして じっと そんなものを 探していた
何かを探して 僕はsと別れた
曇り空というのもあるのかもしれないけれど
地下鉄の分かれ目で手を降って それから
人混みの中に消えたのだった