冬の散歩道
オイタル

薄くにじむ曇天に
陽は破れ
私たちは歩く
口の尖った犬を抱えて

濃い実の残る柿の梢に
風をぶら下げて
風の飛び去る松の林に
大きな瞳を棲まわせて

薄くにじむ曇天に
陽は動かない
私たちは立ち止まる
口の尖った犬を笑って

曲がり角でさよならを言う
冷たい川水の落ちるところで
電線の下でさよならを言う
雪が深く掘られたところで

薄くにじむ曇天を
陽は忘れ
私たちは帰る
口の尖った犬を失って

茅の束は白く
分厚い雪の絨毯に傾く
時を失って
私たちは庭の暗がりに落ちる

薄くにじむ曇天に
陽はひそみ
私たちはまた聞く
遠く微かな 冬の歌を


自由詩 冬の散歩道 Copyright オイタル 2018-01-01 00:17:52
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