後悔
たもつ



計算機を裏返し
ドライバーでひとつひとつ
ネジをはずす
基盤が剥き出しになる
入りくんだところで
ラーメン屋は既に営業している
のれんをくぐる
いらっしゃい、とだけ言って
寡黙な店主は作業を続ける
カウンターは汚れているが
清潔さを保っている
醤油ラーメンを注文する
カウンター下の棚から
漫画雑誌を取り出す
ページをめくる
我が家の玄関がある
扉を開けて中に入る
居間で
バラバラになった計算機を前に
娘がべそをかいている
ネジをなくしたらしい
ポケットを探りネジを取り出す
ドライバーでひとつひとつ
ネジをはめる
もう大丈夫だよ
娘は安心して泣き止む
お母さんはどこ?という質問に
娘は黙って台所を指差す
台所に行く
海がただ静かに広がっている
僕はとても残酷なことを娘に聞いてしまった





自由詩 後悔 Copyright たもつ 2005-03-16 09:03:51
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