《ある男》
ふじりゅう

山盛り憂鬱朝食を

1食抜きにして

人の謗りを尻目にしながら

ぐるっと坂道を駆け抜けた

それがはじまりだった


(天才だって
凡才だって
人生はすべて誠意次第)

なんて、当たり前の格言

ドブ川に放り投げた



いつまでも続く電子音の響き

《僕はただ愛されていなかった》

資料の山はどうせ僕への嫌がらせ

罪はいくらでも親に

被せてやるんだよ



十字ボタンが遂に効かない

僕の足はどこへいったんだ

あの世界で 俺は大陸を

楽々横断できるのに



だからもういいや
鳴り響く嫌がらせの電話
僕にそんな縛りは効かないよ
ははは
人間ってやつは面白い
いれば邪魔だと言われても
いなけりゃこんなに回らぬ物か
資料に目でも通してやろう
勿論こっちの話じゃなくて
あっちの世界の説明書
ここはどうなっているのかな?
電話は耳元でこだまする
心でケアーもできないくらいに




近々お食事でもとうだい

話したいことがあるんだ

ブラックユーモアじみたそれは

もちろん鍵穴に届かない

コーヒーから初めてミルクを抜いた

あの勇気の欠片でいいから…

まな板で裁かれる痛みを堪えて

泳ぐ勇気がほしかった


《僕はそれなりにがんばった》

罪はいくらでも親に被せよう

まいるどせぶんはうまいなぁ

カーテン越しに見る夕日


きれいだなぁ


きれいだなぁ…







きれ

いだ













《アルオトコ…》













自由詩 《ある男》 Copyright ふじりゅう 2017-12-15 11:39:42
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