文明天国
ふじりゅう

この文明地獄の街中で

僕はなんとか立ってるよ


いくらかふらついたけど

ほらこうしてたっているよ


君らは満足気に

ペンシルのひとつやふたつ

かざしているんだけれど

大根1本何百円を

争っている世界だよ



この文明地獄の街中を

半裸のままで泳いでた

君の健気な姿には

今は合掌するばかり


誤報なんだとおもってた

シグナルはあつく燃えていた

そんな月日もやがては消えて

地獄は不動に流れるよ


偉そうにそびえるビル群は

うなづくことすら たやすくない


君の靴紐を固く結んで

せめてカギでもかけておこう

こんな大切な宝物

奴らに暴かれないように





結局僕は体をふいて

涙をふくだけの仕事についたよ

君のような半裸の人に

服を着せる仕事についたよ


それだけがせめて人生の

慰めになればそれでいい


文明地獄のこの街で

慰めになればそれでいい


僕らがこうしている様が

君に届けばそれでいい














自由詩 文明天国 Copyright ふじりゅう 2017-12-14 17:08:21
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