硝子
水菜



セルロイドの羽が
セピア色の大地に映える
セルロイドは叫ぶ
羽を開きながら
硝子は割れ
大地は傷付いた裂け目を哀しく涙しながら
一対の稲妻が突き刺さるように大地に刺さり
片方で電撃を受けたのは私だった
私は焼けただれる匂いを嗅ぎながら
に溶けていく身体に涙する
脳までに溶けていく
それは哀しみの地獄
けれどもう、私は身体を捨てている
片方に佇む私は蒼白な顔のままに
私を見つめている
顔形は既に変形した
希望を捨てたとき憎しみのなかで顔が変形する感覚を得た
みるみる顔は歪み顔が作り替えられる瞬間が分かった
これほどまでに顔の感覚が変わるものなのか
綺麗なもののみしか入れたく無かった私のなかに
入り込み歪み居ついてしまったそれ
追い出したくとも変わった認識はそれをさせてはくれない
それは希望を削ぐ失望
たった一つの希望
苦しみは私を歪める
力が入らない


自由詩 硝子 Copyright 水菜 2017-10-04 23:18:49
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