硝子
水菜
セルロイドの羽が
セピア色の大地に映える
セルロイドは叫ぶ
羽を開きながら
硝子は割れ
大地は傷付いた裂け目を哀しく涙しながら
一対の稲妻が突き刺さるように大地に刺さり
片方で電撃を受けたのは私だった
私は焼けただれる匂いを嗅ぎながら
に溶けていく身体に涙する
脳までに溶けていく
それは哀しみの地獄
けれどもう、私は身体を捨てている
片方に佇む私は蒼白な顔のままに
私を見つめている
顔形は既に変形した
希望を捨てたとき憎しみのなかで顔が変形する感覚を得た
みるみる顔は歪み顔が作り替えられる瞬間が分かった
これほどまでに顔の感覚が変わるものなのか
綺麗なもののみしか入れたく無かった私のなかに
入り込み歪み居ついてしまったそれ
追い出したくとも変わった認識はそれをさせてはくれない
それは希望を削ぐ失望
たった一つの希望
苦しみは私を歪める
力が入らない