終わり、そして始まり
忍野水香

うちの猫はもうすぐ十二歳になる
この二、三年 もう駄目だと思う時が
何度もあったので
いつ死んでも不思議ではないだろう
祖母は施設にいるが、もう九十五歳で
いつ知らせが来てもおかしくない

始まりがあれば
必ず、終わりがくる

毎年 夏に家族旅行をしていた時
この旅もいつか終わるんだなぁ、と思ったが
父が倒れてあっという間に亡くなり
旅は呆気なく終わりを告げた

終わらないものなど
何も無いのだ

夜空に輝く星だって
ある日 突然爆発して流れ星となって
消えてしまう可能性がある

終わり、は寂しいけれど
もう必要なくなったエネルギーは
感謝して手放してあげればいい
一時的に終わったかに見えても
縁があれば関係を変えて
また繋がるものだ

自分のエネルギーだけでなく
周りのエネルギーも変わってゆく
古いエネルギーを手放すと
そこに空間ができて
新しいエネルギーが生まれる

終わりの後には
必ず、始まりがくる

秋に木々の葉が落ちて
冬に枯れたように見えても
春には再び、新しい芽が出てくるように
目には見えなくても
エネルギーは確かに脈づいている

終わりを感謝しよう
そして 新しい出会いを祝福しよう
今度は何が起きるかな、と
わくわくしながら


自由詩 終わり、そして始まり Copyright 忍野水香 2017-08-31 00:54:34
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