言葉の泉が かれたとき
st

森の精霊のかなしみは
言葉の泉が 
かれたこと


詩人たちが 
言葉を使いすぎたため

言葉の泉が 
かれてしまい

森のなかまたちが 
言葉を使えなくなった


精霊は
だれかが過去への旅に出て

セピア色にそまった
涙のしずくを

そっと 
 
言葉の泉に そそぎなさい 
という


その涙の一滴は あなたの

セピア色の アルバムにある
若き日の  あつい想いと
過ぎし日の であい


その涙のもう一滴は あなたの好きな

セピア色の  映画にある
刷りこまれた  いとしい人の記憶と
いつまでも   忘れない
魅惑のメロディー


その涙の最後の一滴は 
あなたがいつもくちづさむ

セピア色の シャンソンのため
歌うのに 頑張って仏語を勉強した
なつかしい あのころの 努力

さあ はやく

だれかが過去への旅に出て
セピア色にそまった
涙のしずくを

そっと 
 
言葉の泉に そそぐのです----






自由詩 言葉の泉が かれたとき Copyright st 2017-08-25 10:22:44
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