原光景〇他者(改訂再録)
ひだかたけし

動かない川の水に、
漆黒と銀白の陰陽
濃密に混じり輝いている

対岸の雑木林、
淡い陽光に照らされ
そよとも揺れず
枝絡み合い重なる奥に
白い空間 ぽっかり開く

凝視されている気配、
俄にざわめき立つ

雑木林は川に沿って、
黒々と密生した森となり
その真上から 濃紺に暗んだ空
半球を描き広がっている





全く微動だにしない光景、
全く無音 にもかかわらず
確かに何かが潜んで 
秘かにこちらを凝視している

その気配だけはいよいよ確かに、 
辺りを気遣う私を刺し貫いた。



自由詩 原光景〇他者(改訂再録) Copyright ひだかたけし 2017-08-20 21:44:11
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