多分どちらもたいせつ
ふるる

童話のように優しいあたたかい詩
読者を拒絶していると怒られる詩
多分どちらもたいせつ

甘い物と
お野菜
ほっこりとしゃっきりに感謝を

日常の大切さを素直に現す詩
心の風景を婉曲で見せる詩

踊り場と
ジェットコースター
レアリズムとシュールに拍手を

しごくまっとうなことを上手く言う詩
話者が混線で漢字もむつかしい詩
多分どちらもたいせつ

親しい友人と
ライバル
娯楽と努力に花束を

芸術的な美しさを厳しく追い求める詩
解読不能だけど情熱だけは伝わってくる詩
多分どちらもたいせつ

美少女と
ファントム
光と影に祝福を

テーマや意図がはっきりしている詩
全然わからないけど必死さはある詩
多分どちらもたいせつ

常識と
それ以外
地球と宇宙に存在を

私たちが知ることには限界がある
宇宙のことは知る由がない
他人の心も
外国でおきていることも
昔あったこともこれからおこることも
目に見えないこと耳に聞こえない触れないこと
小さすぎるもののこと大きすぎるもののこと
距離がありすぎる遠すぎる深すぎる場所のこと
一番深い海の底にはまだ行ったことがないし
光が届かない宇宙の彼方のことも分からないし
ずっと一緒に暮らしている家族の心の中
いや
自分の心の中でさえも
分からないことばっかり
意識は氷山の一角で
無意識は巨大で
どこかに繋がっているとも言うし
幽霊やUFOのこと
時間や空間のこと(時間や空間はなくて、重力しかないって本当かな)
遺伝子の3分の2は使われてないって言うし
遺伝子に何が書いてあるのかなとか
なんで地球にだけ生命活動があるのかなとか(だけかどうかわかんないけど)
人間はなんでつるっぱげ二速歩行言語持ちなのかなとか
なんでみんな仲良くできないのかなとか
実は喧嘩が好きなのかなとか
分からないことばっかり
知らないことばっかり
言葉になってないので
想像すらできないこともたくさんあるだろうし
でも
私たちの半分は、そういう分からないものでできているよね
半分は、月の陰の見えない部分、お饅頭のあんこ、だと思うくらいでちょうどいいんじゃないか
半分か、もっとかもしれないけど
生きている身体の細胞や細菌たちが
どれほど絶妙な連携でもって動いているか
あるいは偶然にたまたまいい感じに動いていることを
逐一知ることができたら
いいだろうね
私やあなたの存在が
どれほど誰かの助けになっているか知ることができたら
いいだろうねいや迷惑かけまくってるのがわかっちゃうかもしれないけども
お互いさまだし
きっと今までよりも自分や人を
大切に思えるだろうね多分だけど

とにかく、見えるもの、知っていること、だけで世界を見るのって
危険でしょ
フェイクニュースとか別の真実とかを信じてる人もいるけど
色んな人がいるし
色んなものの見かたもあるし
色々知ったら、仲良くなれるのかもしれないし
仲良くは無理でも乱暴にはしないとかなるかもしれないし

自分は何も知らないという無知の知というのがあって、

そういう謙虚な姿勢って大事

知らない、分からない、自分は井の中の蛙という地点で物事を見たら

自分は偉いんだ、って絶対ならないし
これで何もかもおしまいだー、ともならないし
まだ何かあるだろう、っていうのは、一つの希望だよね

正論だけで生きられるわけじゃないし
だいたいが、人の心って矛盾だらけ
こうしたいけどだめだよねーとか
こっちもいいけどあっちもいいとか
だめだけどやっちゃったとか
正しいと思ってやったら違ってたとか
詩なんかも、
定型もいいけど自由もいいねとか
伝統もいいけど現代もいいねとか
言いたい事言ってたら行分け散文になっちゃうとか
もやっとさせると難解と言われちゃうとか
色々、あるでしょ

そういう矛盾を許す
まだ見知らぬ世界を見せる
想像もつかない思想を展開するって
詩のいいところだし、
そういう詩の中にはあるのかもしれない
一見わけがわからない
怒りがこみあげてくるような詩の中にあるのかもしれない
何か
ビジョンとか
答えめいたものが
あるのかも
しれない
しれない






自由詩 多分どちらもたいせつ Copyright ふるる 2017-08-20 18:52:35
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