あゆみ そまる
木立 悟







降る花だと思ったものは
薄く小さな血の皿だった
数えつづけ 数えつづけ
眠っていた


歪んだ光の水たまり
かけらのかけら
あつまりのあつまり
波と光の 指あそび


撃つのではないか
今にも あの曇は
地を撃つのではないか
すべての表情を 爪に集めて


背を向けたもの同士が会話している
風はわずかに灰色になる
小さく小さく降りつもる音の
かたちの端がかがやいてゆく


空の幕にあいた穴
縦につづく楕円のむこうに
のぞきこむものの姿が見え
泡の輪郭にまたたいている


静けさの上を伝わる事ども
夢と現と想の踊り
無意味な生と死の服を着て
降る赤に目覚め 歩き出す

















自由詩 あゆみ そまる Copyright 木立 悟 2017-08-05 07:19:07
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