森の詩
ミナト 螢
三つ編みの中に隠したボタンは
あなたの制服の二番目だった
ネズミにかじられたりしないように
私は一等席を用意した
黒いおさげが光の加減で
緑になるのを気に入っている
重たい髪が少し軽くなって
ツタの絡まる森みたいに見えた
あなたはいつもはにかんでいたから
名前で呼んでくれなかった事や
写真で笑ってくれなかった事を
責めるよりも逃してあげたい
天秤の重りが足りずに泣いて
私だけ宙に浮いて行くのを
あなたはきっと待っていたのだと
いつか心の迷いが解けたら
髪の毛をバッサリと切るだろう
トトロのお家も崩れてしまうね