可否道その9---行ってはいけないクラシック喫茶店
st

はいっただけでわかる 異様な雰囲気で
何気なく置かれている チェンバロやチェロ 
バイオリンたち  生演奏も時々ある
 
うますぎるコーヒーがだされ
よすぎるオーディオの音がながれ
変人すぎるマスターが対応する

うますぎるコーヒーは

浅煎りの上質のものを ていねいにサイフォンでだし
ボーンチャイナの高級な洋陶にもられ
香り高く薄めの  すみわたる液体が美しい

よすぎるオーディオの音は

オルトフォンのSPUがひろい 真空管アンプが増幅して
タンノイのオートグラフが再現する 演奏会場にいるような
生々しさ

変人すぎるマスターが対応し

ブラームスのピアノ協奏曲第2番をリクエストすると
軽蔑の視線で そんな曲はありませんといい
でも第1番はありますという

その時はあきれかえってしまったが   あとで第1番を聞き
その素晴らしさに驚き 納得し 私も第2番は聞かなくなった

過ぎたるは猶及ばざるが如し-----

うまいくらいなら わすれてしまう
よい音くらいなら わすれてしまう
変人くらいなら  わすれてしまう

すぎる---のがこわい ぜんぶほしくなるし
わすれられなくなる  

破産を覚悟するなら
行ってもよい クラシック喫茶店たち



自由詩 可否道その9---行ってはいけないクラシック喫茶店 Copyright st 2017-07-29 07:13:52
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