雨と手のひら
木立 悟





羊の群れが見上げる先に
生きもののあつまりのかたちの曇
黒い太陽は白くなり
鉛のように口をつぐむ


平たい国に咲く花が
丸い虹や風へと傾き
水を覆い揺れている
夜を梳く手に揺れている


金と緑の合わせ鏡
数億年後の地表に吹く笑み
土から花までの隔たりを
小さなはにかみが埋めてゆく


光が空に描く果物に
触れることなく涙は昇る
生まれの前も生まれの後も
ゆるやかな午後の雨を聴く


銀の径
交差する手の
むこうの星と曇
いつか 別れて


器を重ね 日を重ね
海へ海へ 心を飛ばし
やがてふたたび還るものを
水と笑みは出迎える





















自由詩 雨と手のひら Copyright 木立 悟 2017-07-28 08:29:07
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