週末
哉果

君の名前の書かれた肉を喰う
甘酸っぱくてとてもおいしかったんだナツみかんの味がする

茶色のマーカーで線を引く忘れないようにシュークリームが潰れないうちにスプーンで君の頬を突き刺すここにいましたか

プールサイドで遊ぶ猫 かわいい

忘れないように線を引きましたか明後日か明明後日

忘れないうちに覚えておきましょうここがいつでどこにあったか

あなたたちは何年間か何千年か
ここにいて出られません

思い出した新しい記憶


リキュールばかり飲んでうずくまって吐き続けている君が電燈がいい匂いがする君は無知で息を吸い込んで溺れ出す団地が遠い

だから君は子供なんだと呆れ声で漏らせば怯えたようにこちらを振り向いて怒っていないことに安堵した君はようやくへらへらと笑って肩を貸すようにせがむけれど長くそろえた常夏色のあわい爪がぴかりぴかりと光沢するたびにとても厭な飛行機の軀がビルに突っ込んでゆく


テレビがぼやけてとても観ていられないので温泉に行きました

プールサイドはもぬけの殻で


覚えていられるように忘れないでください思い出すために忘れてください熱が出た日にうなされる鯉のように
明日は昨日の続きではなくそこにいるかれらは皆皆まるい夏蜜柑と肉であり

潰れてしまった皮にクリームが溢れて手の指をつたって落ちる絶望の意味を知っていますか

手を振ってさようならラーメン屋ののれんをくぐる


自由詩 週末 Copyright 哉果 2017-06-13 16:08:08
notebook Home 戻る  過去 未来