日日草
ツノル


大きなスーパーには時々奇声をあげながら働いている青年を見かける。
新しくできた大型のドラッグストアはいつも人手が足りない様子だ。
それでも二週間ぶりに行ってみると店員の数が増えていたりする。
なかには言葉のたどたどしい女性がいたりもするが、顔つきをみれば明らかに外国人だとわかる。
外国人の店員はみんな気さくだし、応対時の笑顔がすてきに見えたりもする。
園芸売り場に日本人の若い少し奇妙な女の子が働いている。
見れば仕事をしているのかすることがないのか、何かそわそわと落ち着きがない様子だ。
顔を覚えてくれていたのか、レジへ品物を持って行くと愛想よく付いてきた。
「この花は何て言うの?」
台の上に紫色の草花が箱詰めにされたまま置いてあったので訊いてみた。
「日日草」です。「この前来た人‥‥」
間髪を入れずに答えてくれた。
「袋に入れますか?それとも箱詰めにしますか?、わたしにしますか?」

「おもしろい女の娘だね。」
中にいる女子店員と笑いあった。

いま人手不足の世の中だ。
みんな一生懸命働いている。
どうか彼女たちを見守ってほしい。
けっして虐めたりしないでほしい。
道端に咲く草花のようじゃないか。

自転車の前籠が鉢と草花で一杯になっていた。



自由詩 日日草 Copyright ツノル 2017-06-11 04:46:36
notebook Home 戻る  過去 未来