水平になっちまえ
竜門勇気


ひび割れていくことに
何の感慨もない
爪を立てていた猫に
謝礼を支払えばいい
痛かったことや悲しいことが
あんなに嫌だったのに
手放す時が来ることが寂しい

腹を立てている自分を嫌いになった時
自分のすべてが厭になった
自分の全ては自分で決めれるみたいだよ
歯ぎしりをするたびに
それは望んでしたことなのかわからなくなるだろ
眠りに落ちる時に今から眠りに落ちようなんて思わないみたいに

白くなっていく前髪に
何かを預けることが出来ない
何をしてこうなったなんて
何されてこうなったなんて
どこまで探しに行っても見つからない
生きているだけで
これだけ疲れています
これだけすり減っていきます
流れのない水を川と呼べない
僕の時間も人生と呼べないだろう

世界にゆく人と留まる人が
お互いの時間を笑っている
高い場所とそうでない場所
低い場所とそうじゃない所
全部クソみたいな意味しかない
意味なんて関係ないのに
全部水平になれ
水平になっちまえ
ゆく人なんて転げ落ちてるさまを
動いてるみたいに思ってるだけだ
留まる人なんて先に転げ落ちただけのことだ
疲れ果ててすり減り続けて
水平になっちまえ
力を抜いたときに引っ張られる方向に
向かっていく


自由詩 水平になっちまえ Copyright 竜門勇気 2017-05-14 01:56:58
notebook Home 戻る