あるく
木屋 亞万

川沿いを歩く
アスファルトが敷かれた道と
コンクリートに囲まれた川

空気が止まっている夜に
桜がひらひらとこちらへ
回転しながら降ってくる
街灯が至近距離で照らしだす枝に
花はもうまばらにしか残っていない

線路沿いを歩く
茶けた石の上の錆びた線路
ところどころほつれたフェンス
片方だけの物干しかけ
貼り紙だらけの電話ボックス
駅前にまばらに植えられた桜が
電車が通り過ぎるたび
花びらの渦を作る

春は妙に街が若くなる
あちこちの花壇に花が咲く
枝から小さな葉が芽吹く
若いおしゃれな女の子
幸せそうな子ども連れ

ああああああああ
aaaaaaaaaaaa
頭の中で何かが壊れそうになっている
キーボードを押さえたままの
aaaaaaaaaaaaあああああああ
何かが
aaaaaaaaaaaa
今までのたくさんの間違いが
つかみ損ねた幸せが
あああああああああああああああ
楽しみ切れなかった若さが
あああああああああああああ
ああああああああ
後悔が連鎖して
あああaaaaaa
押し寄せ
あああああああああああああああ
春を息苦しくする


自由詩 あるく Copyright 木屋 亞万 2017-04-30 23:24:11
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