つもる かたち
木立 悟






壱と零を
零と壱を行き来する
それでも
大きくなってゆく


去っては戻らぬものの影が
ふくらはぎにわだかまり
水草のようにまとわりつき
触れては離れ 触れては離れる


雨の夜の音
夜の夜の音
交差する径 行方断つ影
霧の花の洞 消えてゆく影


水たまりに映る
散りぢりの風景
枯れ枝に乗り
動かぬ空


月の下の波が
時間を遮る
古い樹のなかに眠る季節を
芽と穂の子らが見つめている


永いあいだ
忘れていたからだ
光のからだ
子らの手から
空へかえる


水が水を問い
応えられずにむらさきは過ぎ
零と壱は降りつづけ
那由他のかたちにつもりつづける





























自由詩 つもる かたち Copyright 木立 悟 2017-04-17 08:44:07
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