生きてゆく
坂本瞳子

だめだ
もうだめだと思いながら
それでもまだ生きながらえている

この鼓動は止まることがなく
呼吸が止むことなく
陽の光を浴びて幸せを噛みしめる

気を失ってしまいたいと切望し
なにも考えることができないほどに絶望し
頭の中も目の前も真っ白になってしまっても

それでも生きていかなければならない
脆弱ながらも貪欲に
貧相な魂を剥き出しにして

涙や血や汗を垂れ流しつつ
それでも飯を喰らい
脈打つ身体から逃れることなく

歓喜するほどの愛は知らず
高揚する気持ちを抑えつけて
もどかしくも恥じらいを知り

怒りを覚え
怒りを忘れた振りをして
悲しみに打ち拉がれ
狂気にまみれて高笑いをし

渇きを覚え
潤す術を身につけ
濡れる喜びを知り

だめだ
もうだめだと思いながら
また明日を迎える


自由詩 生きてゆく Copyright 坂本瞳子 2017-04-01 22:42:28
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