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狩心

よく分かっていなかった時
世界がギラギラしていた
分かってしまい外界に絶望してからは
結局自分でどうにかするしかないんだなと
暴走列車の鋼鉄のようにビクともせず
強くハッシンシ シーシー ハーハー トーノー ヒーメー
イ ホッシンだらけになり イ 痒みと眠気と戦い
とにかく眠ってしまわないようにと
極寒の冬の町の一番人が交差する場所で突っ立っている

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何度閉じられても 1秒に数時間かかっても
100%になって 窓が開かれるまで
好きではない ただの数字の羅列が表示されていても
曲がらないパントマイムは 下半身を切断し
地面に落下するまでを1億光年と定め
そこに現れる障壁の空気との摩擦を友人と呼び
生まれてきた子供に
君をこの世界に産み落とすべきではなかったと呟き
自らの体と頭では成し得なかった希望の責任を擦り付け
根拠もなく 議題自体が間違っていたのだと自らを諭し
話題を摩り替えようとしている この
待ち侘びた虹のアーチ
真実の幽霊達が渡る ルーレットのど真ん中を狙うアーチャーの眼差しを睨み返し
燃え出国の 皮膚を突き破って 信号の目となるイシ達がボトボトと 皮膚を突き破っての
髪型UFOの 上半身だけの 闘牛の 刻みのりの
駅的溶解はビルを駆け上がる、 両手を足として使いながら、
垂直の名の下に 窓を叩き割っていく
絶対に出会うことのない心臓が 遠くどこかの水の上に浮かんでいる
屋上から真空に身を任せた時
声にならない声を挙げた
地面にキスした時
言葉のない世界を見たが、
辺りを見回してみても 蜃気楼の影ばかりで
それを伝えるべき相手がどこにもいなかった
ネットニュースで流された私の肉片が
まだ旅をしている最中だと
誰も知る由もない
電波で空を飛んでいる時、
「人」を運ぶという事を初めて実感した
まさかとは思ったが
もはや私はわたしを必要としなかった
遠くどこかの水の上に浮いていたはずの 絶対に出会うことのない心臓が
破裂しそうなくらいバクバクして 浮力をなくして
一粒の涙を落とすように
ミズシラズの闇の底へと沈んでいった

冷たい路上で目覚めた少年には名前も父親もいない
ただ、耳の奥にかすかに残る 「 君をこの世界に産み落とすべきではなかった 」 という響きが
彼を生へと駆り立てた
彼にとってそれは、
何事にも変え難い
やさしさ以外の何者でもなかった


自由詩 進まないダウンロード Copyright 狩心 2017-03-29 02:01:19
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