AB(なかほど)

白木蓮の花が
まだ冷たい空に向かって
ふくらんで

忘れていたつもりの
いくつものことが
いくつもの夢が
何人ものひとたちが
咲いてきそうで
立ち止まっている

こころがにじんで
ぼやけていってしまう


何人ものなかの
たった一人の君の声が
君の顔が
その息づかいが
浮かんでくる前に
いつもの生活に踏み出さなければ

線路わきの菜の花まで
早足で



  咲くな
      まだ

         散るな



  咲くな
      まだ

         散るな








自由詩Copyright AB(なかほど) 2017-03-28 09:30:44
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