影の透明な街で
番田 


品川の道をぼんやり歩いていた
しかし自分の行き場を失ったかのように私は
3月の 川面を 私はたどった
去年も同じ道を歩いていた 私は憂鬱だった


街の見知らぬ子供も我を失ったかのように
だけど 歩きつづける道 子供も  
普段はオフィス街の壁の間の音もない世界を生きている
人の生活は過ぎる それぞれの暮らしの中を


それぞれの毎日は流れる
広い世界であっても 区画で区切られた 毎日は
しかし書き綴られる価値も無いほどの狭さの中を流れる
価値も 無意味さも そこで得られることもなく


価値もないのに 木曜日友人と飲んだのだけれど
友人と 会い続けることの意味はなんだろう
私たちは自分の思い出すら話す言葉もなかった
自分の全てを時の流れに消し去られてしまったのだ



自由詩 影の透明な街で Copyright 番田  2017-03-12 19:23:40
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