陽だまり
本田憲嵩
静止したレースのカーテンが夕陽をたたえて、切りとられた金色に
染まっているこの寂しさは、切りそろえられて強調されたおかっぱ
のうなじ、森の小径で縫うようにうつろう黄色いニ匹の蝶々、また
そのような視線、そそがれる陽だまりのなか、たしかにつないだ手
と手。きみの知りえない夕映えのわたしの色を帯びて、高い窓から
見おろすミニチュアのまち、観覧車の速度でおだやかな時間がなが
れてゆく、こびとになった恋人たちのはいりこむ、ちいさな街路の
迷路の世界、そして、レコードを回して此処に居てほしかった、や
わらかなみどり色のソファー。