スプーン anemone
もっぷ

少女は米国国旗柄のカイトを揚げて
LAの隣町の小学校の凧揚げ大会で優勝した
どうでもいい顔をして校長先生からみんなの前で表彰される
もうはずかしくて居たたまれず消えてしまいたかった

学校が終わると少女はいつもの丘に行って
今日も一人だけの楽しみとして凧を揚げて走り回っている と、ふと
銀色に光る なにか、きっと、素敵 に気づく
足元に

スプーンだった 笑うスプーン
少女に気づいてもらえたと知ると身をよじって笑い転げる
すっかり嬉しくなってしまった少女は 髪を
束ねていたリボンをほどいて

スプーンに結わえると スプーンはついに本心を告白した 転じて
ぽろぽろと泣きながら「淋しかったんです」「淋しかったんです」



自由詩 スプーン anemone Copyright もっぷ 2017-01-27 23:24:21
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