深海のプラネタリウム
mizunomadoka

ガラス天板の上を
巨大な魚影が横切る
ここは海に沈んだ宇宙船
虹色クラゲが星座みたいに光ってる

私はエミリー。彼女はオートミール・オートマータ
今日は二人で宝石の選別をしてる
燃料になるもの、レーザー核、通信マジカル、星屑なんかを
図鑑で調べてトレイに分けていく

普段は眠っているけれど
東の海に氷の魔神が現れてから
氷雪バリアの開発で忙しい

となりの机ではカッツェンが
料理魔法の本を調べてる
解読したらデンシレンジーでレイトウパエリアーを
作ってくれるって

「ねえ、魔神がきたら雪が降るのかな?」
「たぶんね。でも発電機が停まって僕らは動かなくなるよ」
「ワタシもオートミール、ツクレナくナリマス」

3人で天板を見上げる
世界が反転してから生まれた私たちは
空も雪もしらない
怖いけどすこしドキドキする




二月になった。バリアの外が凍っていく
地上の光ではじめて外が見える
あの大きな魚は首長竜だったんだ

バリアをすり抜けて深海に雪が落ちてくる
流れ星みたいにきれいな魔法

(みれてよかった)
私は最後の燃料石を口に入れる
みんなはもう停まってる

手のひらや瞼に雪が積もって
真っ白になる

私たちはロボットの子供
いつか氷が溶けて
あなたを作ったら
また続きを話してあげる……









自由詩 深海のプラネタリウム Copyright mizunomadoka 2017-01-25 23:14:21
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