夏の麦わら帽子に穴を開けて
花の縁取りをした

冬のニット帽は角も包み
風邪をひかないようにした

卒園式にマニキュアで
魚の絵を描いた

わたしが死んでいないか不安になって
何度 ....
ミカとサンドラ
ふたりが鏡の中にいる

あちらでは
私が死んだことになっていて
思い出を話してる

森の入り口にある小さな村
昔教会だった母のアトリエで
花冠を作ったこと

巡回 ....
赤い砂漠の中心で
巨大なカタパルトが
果てのない空を見てる

これで月も落とせると
彼女は笑う

焼け落ちた高圧線とバラック
帰るための水も食料もない
寒い夜
床に耳
ドクンドクン
心臓の音

眠る森
静かな切り株
深い虚
地下を流れる川

三十度目の春
onとoff、onとoff
命が点滅してるみたい
破れた頁

3月 ....
あなたの鍵を青く塗って海に投げた
波の泡が飲み込んで
見えなくなった

別れた日だった
わたしが泣くとあなたも泣いた

玄関に、台所に、ふたりの部屋に
あなたとわたしのYESとNOが
 ....
落ち葉を並べて
雪だるまを作って
もう春だねって
アスファルトの熱で
欠けていった
雨は雪を舞い上げる
私と姪の高さまで
初詣の帰り道
自販機の灯りの前で
ホットココアを
ポケットに入れて
きみは言う
「全部捨てて逃げちゃおうか?」

「無理だよ」
「わかってるって」


初詣の帰り道
自販機の灯 ....
あの子たちは軍服で
店にやってきた
礼儀正しくテーブル席に座り
人数分のテネシーを注文した
マスターは身分証のことには触れず
「お前たち幾つになる?」と言った
「20です。来年には」

 ....
今年も父は
庭木と柵を電飾で繋いで
「おい、点灯式をするから見ててくれ」と言う

仏壇前の灯籠を片付けてミニツリーに替え
母の好きなシュゼットでケーキを予約して
シャネルのバッグを押し ....
午後八時
服のまま雪の降る川に入り
午前五時
神社の杉に縄をかけ死んだ
友の命日
突然の矢傷
痛み
虎は逃げる
遠く
雨の中
響く
雷鳴

洞窟に
残された三つ子
知らぬ声で
荒ぶ風
ソファで眠るあなたの指から
灰になった煙草を外す
ずれ落ちた毛布を掛け
散らばった睡眠薬を戻す
教会の鐘が冬の朝を告げ
絨毯に零れたワインが香る
妹とあなたと3人で
病室にスナックとソー ....
惑星をつなぐ鉄道の中継地
真空チューブが
弦のように延びている

定刻をすぎても宇宙嵐で
発車の目処はない

電気石で火をつけて
炭素を吸う

外壁で散るホログラムの桜


 ....
目を閉じると
宇宙と宇宙が対消滅してる

星々が呑み込まれてく

おもちゃをのせた
絨毯を畳むみたいに


カルナ基地から
通信レーザーを送る

はやくそこから逃げて

7 ....
竹に埋もれた地蔵
春告鳥が鳴く

青い瞳の幽霊は
展望台を見上げ

白い髪のオーロラは
階段の途中で脈を整える

桜がゆれて
二人の壁になる

ライトアップが終わっても
 ....
若かった彼らは
桜の枝を折ってパーカーで包み
花束のようにした

自分たちも美しい春になれたみたいで
嬉しかった

出会った日に裸になったのは
運命の人だったから

窓辺にバドワイ ....
ライトアップが終わると
足下の桜は消えていった

老婆は海側へと
手摺伝いに歩く

このまま
夏の花火を観たかった

美しい春の夜に
手をひかれながら







 ....
ガラス天板の上を
巨大な魚影が横切る
ここは海に沈んだ宇宙船
虹色クラゲが星座みたいに光ってる

私はエミリー。彼女はオートミール・オートマータ
今日は二人で宝石の選別をしてる
燃料にな ....
祖母の喫茶店では
スティックコーヒーを客に出す
食事のメニューは
近くのベトナム料理店のものだし
自慢の紅茶はどこか酸っぱい
ゲートボール日の店番は私
お客さんは足の悪い染吉さんだけ

 ....
買い手のつかない
あの家のガレージに
クリスマスツリーが眠ってる

誰も開けない
シャッターの内側の
冷たく積まれた
スタッドレスタイヤの横で
去年の飾り付けのまま

彼女はラ ....
外ではもう
クリスマスの鐘が鳴ってる

結婚したら新居を建てよう、と言われて
戸惑ってる

この世の中にあるもので
あなたの持ち物はあなただけよと
育てられて
まだそれを信じてる
 ....
土から抜かれた細葱を刻んで
食卓にそえる

グラスに水を入れて
残りをさせば
頭と根がのびてくる

日にひとつ
歩みをへらし
粥をへらせば
命でこのよに
帰れるけど

初雪の ....
雨と雪が降る重さで

水たまりの世界を
ジャンプする

海に向かって吹く風が
空に土を運んでいく
あなたのために
死んだ妻がベーコンを焼き
熱いコーヒーをカップに注ぐ

あなたは匂いに誘われ起き出して
何もないテーブルを見つめて
新聞を取りにいく

ベーコンを焼いてパンを切り
コ ....
愛に返事はない
アマンダのジャスミン

コンピュータの作る
つぎはぎの言葉

城壁に登れば、刈り終わった麦畑を
柳生一族が歩く

どうしたいの?

電話がないのに
ベルが鳴 ....
人より一本多い肋骨を
左胸に隠してる

きみがテストを丸めて
ロトの剣にしてた

くらいの大きさ
家に呼ばれなかった子供たちが
二階の窓にはりついている

メリーゴーランドの
オルゴールがみえるかい
メカトリル鉱石で
千年先も残るんだ

窓を開けると秋葉が舞い込んでくる
夜になれ ....
一面の海。一面の空
波の飛沫のとどかない中空の城

折れた七節を
秘密の糸で縫って
生き返ったと
誇らしげなきみに
魂について説く

きみより多くを知る道理はあっても
深く ....
諦めた階段の先は
白い霧で見えなかった

鎖でつながれた大きな爆弾が
空にジッと手を伸ばす

いもしない猫を飼ってたあの日
こんな夜がくるなんて
思わなかった

星の地に生まれて
 ....
mizunomadoka(541)
タイトル カテゴリ Point 日付
Horns自由詩218/8/9 18:57
disappear without disappearing自由詩018/8/4 15:32
sagittarius自由詩318/3/19 22:11
lack自由詩218/3/18 21:59
deep sea自由詩618/3/12 0:22
phase自由詩218/1/17 23:04
repeat自由詩118/1/17 22:30
cocoa自由詩318/1/3 0:47
snow自由詩117/12/31 1:00
自由詩5*17/12/16 23:03
自由詩117/12/16 2:21
lighter自由詩017/12/11 0:18
disillusion自由詩217/12/9 20:34
トルマリンとアズマイチゲ自由詩1017/4/15 0:55
starry eyes girl自由詩217/4/12 19:47
life of light自由詩117/4/10 18:39
two of spring自由詩217/4/8 23:28
widow's violet自由詩317/4/8 22:08
深海のプラネタリウム自由詩117/1/25 23:14
part timer albatross自由詩216/12/29 10:28
12月の雨の下自由詩316/12/24 12:02
flow of the skin自由詩515/12/11 15:23
up down 自由詩715/11/27 16:36
river of reverse自由詩115/11/14 22:57
自由詩415/11/12 21:59
letter自由詩015/11/12 21:44
つるぎ自由詩215/10/22 15:04
moonless night自由詩215/10/22 14:39
中立自由詩615/10/19 15:38
れお自由詩115/10/11 14:51

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