ミナト 螢

誰がいちばん可愛いだとか
何がいちばん売れているだとか
私にとっての世界は争い
透明人間になりたかった

耳を塞ぐのはヘッドフォンで良い
口を隠すのはマスクで良い

肩に触れられて初めて嘆いた
冷たい雨と置き忘れた傘
制服のブラウスが透けてゆくと
誰も私の事は見ないだろう

雨と涙で濡れた顔は今日も
少しずつだけど輪郭を失くし
重たくなったマスクを捨てると
今なら助けてと言える気がした

クラスメイトの子に貸して貰った
黒いカーディガンを羽織った時
醜いと思っていた世界にも
手を差し伸べてくれる虹があった


自由詩Copyright ミナト 螢 2017-01-25 13:18:02
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