融解
本田憲嵩

いつも気になっていたのは
君の鼓動、
タイムリミットのある
運命みたいに
乱ざつに履きかえた内靴と外靴
しろくおもみのないものが
花びらの速度で降りつづける夜
水平線の見える
駐車場へと追いかけて
レールのように硬い鉄のかたまりを
万力で捻じ曲げるみたいに
たしかにこの手で
捻じ曲げたもの
けがれなく
ささやくように泣いている
釣り合わない握力で
掴みよせた
まるで白い綿のように重さのない肩
(ふわり、ポトリ、融けるように
言葉のない白い花びらは
君を愛おしむため
手のひらのやわらかな水平線へと落ちる



自由詩 融解 Copyright 本田憲嵩 2017-01-06 11:04:56
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