祈り
レタス

雨が降る
風が吹く
大地が揺らぐ
雷が空を這う
海はうねり
河は流れる

ぼくたちはそれを餌にそっと囁き
三百万年以上を過ごしてきた

洞窟で薪を焚き
語り部の老人から
時の流れを聴きながら
明日の無事を祈り
子供たちは夢に漂う

女たちは木の実の皮を剥き
男たちは石器を削っていた

イエスが天に昇り
二千余年

ぼくらはあまり物語を語ることは無くなった
命を養う夢を見ることも無くなった

地球のウィルスとなってしまったぼくらに
明日は在るのか
次第に解らなくなってくる

いにしえに生きた人々は
日々祈り
明日を占っていたのだろう

一族という組織は崩され
人々は富をかき集めるために時という黄金を失った

そろそろ終末が来るのだろうか
ぼくは何時も明日を占う原始人となっている
この社会から弾かれ
時計の秒針だけを見つめ
明日を祈る



自由詩 祈り Copyright レタス 2016-12-27 18:24:32
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