冬の街
ヒヤシンス
季節という音楽を君が奏でるのを聴いた。
透明な旋律は白銀の街には鮮烈だ。
音楽は創造され、どよめきの中の瞳を凝視する。
真昼の動揺を隠せない人々はそのまま夜になだれ込む。
夜の帳が降りる頃の静寂は異常だった。
誰一人目を合わせようとしない街角で、
誰一人心を通い合わせない街角で、
群青色の世界を照らす街灯が寂しく脈打っている。
最終列車は行ってしまった。
日常は行ってしまった。
週末の心の交差点だけが赤色の点滅を繰り返している。
君は見事に冬を奏でた。
誰かの吸いさしの煙草が雪の上で燻っている。
求めることのない僕の瞳が涙で滲んだ。